(レビュー)ポケットモンスター ルビー・サファイア

ポケットモンスター ルビー・サファイアは2002年にGBAで発売されたポケモンシリーズ3作目。ポケモンシリーズ生みの親の田尻氏が一線を退き制作体制が一新された。

作品評価…A(名作)

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評価点

グラフィックが向上している

ハードがゲームボーイアドバンスに変わったこともあり、グラフィックは第2世代から飛躍的に進化している。初代や金銀は今からプレイするとグラフィック面では流石に厳しいものがあるかもしれないが本作はドットということを考慮すれば、まだまだみられるレベルだと思う。ポケモンだけでなく背景などのグラもよくなっているのでより没入できる。制作陣の交代ととともにポケモンの近代化を象徴する点だと思う。

シナリオの濃密化

本作からは伝説のポケモンがシナリオに必ずかかわるようになりシナリオの起伏が前作よりも大きくなっている。金銀のホウオウが20年間映画に出演できなかったことを考えると出番という意味では評価できるかもしれない。一方でポケモンシリーズはシナリオ重視の作品になればなるほどシナリオの粗がでやすい傾向にありこの路線を生み出したこと自体は評価点とは言えないかも。
とはいえ本作は一部不可解な点があるが無難にまとめられており評価できる。なお主人公の父親が登場する数少ない作品でもある。

ダブルバトルをはじめとした新要素

2対2で戦うダブルバトルが導入された。前作にもいたトレーナー「ふたごちゃん」などをはじめダブル専用のトレーナーが出現している。ジムリーダーとダブルバトルで戦うジムも存在しており、おそらく本作の目玉要素の一つであった。ただし、シナリオで登場するダブルバトルのトレーナーは基本的にポケモンを2体しか持っていないのであまり強くない。
ダブル特有の技や戦法もあり、一般的なルールであるシングルバトルとはまた違った面白さがある。

またそのほかにもポケモンごとの特性が追加された。場に出るだけで相手の攻撃を下げる「いかく」など。うまく使いこなせば便利になるものも多く、とくせいの登場により戦略の幅広が広がった。ただしこの点に関しては後のシリーズのインフレにつながる要素ではある。

通信を利用したひみつきちにおける楽しみ

中盤から1か所だけひみつきちを作ることができる。他のプレイヤーと通信すれば、他プレイヤーのひみつきち内で対戦することが可能であり、経験値稼ぎにも重宝した。ただし見知らぬ基地に乗り込むとレベル100のポケモンが出てきて瞬殺される可能性もあるのでクリア前の利用は計画的にしたほうがよい。自分のひみつきち内は模様替えすることも可能であり、どこに作りどう中身を変えるか考えるのも楽しい点。見つかりにくい場所にひっそりとひみつきちを作るというのもあり。

秘密基地の通信は相手が既に登録しているプレイヤーの基地も自分のマップに反映されるようになり、ここのトレーナーは何をだしてくるんだろうと好奇心を刺激され、大変面白かった。復活してほしい要素の一つ。

バトルタワーにおけるやりこみ

クリア後にバトルタワーという施設が解禁され対戦できる。相手はコンピュータだがそこそこ歯ごたえがある。当時はネット対戦がなかったので対戦相手がいないボッチ廃人でも安心できた。
最も管理人は対戦をほとんどやらないへたくそなのでバトルタワーで連勝した記憶はあまりない…。

問題点

前作からポケモンの引継ぎができない。

シリーズ全体でみてもトップクラスの問題点であろう。舞台であるホウエン地方に登場しないポケモンはデータ的には存在するが通常プレイではゲット不可能。データ上は全国図鑑があるがゲーム中に入手するイベントがあるわけでもない。そのため私も未登場のポケモンはリストラされてしまったのかと思った。
この点は4世代以降改善されている。

・クリア後追加要素が他作品に比べると少なく物足りない

基本的にクリア後は前述の対戦施設であるバトルタワーが追加されるのみであり、金銀のような追加シナリオはないに等しい。バトルタワーもあくまでも対戦施設であってダンジョンではなく、野生ポケモンが出現するわけでもない。前作に比べるとボリューム面では劣化している。

ライバルの展開が強引

本作ではライバルポジションのキャラが二人いる。そのうち選ばなかった性別の主人公が各地で不意打ち的にバトルを仕掛けてきてストレス要因となる。もう一方のライバルは病弱設定で最初ははっきり言ってザコだが主人公の知らぬ間に突然覚醒。すべてのジムを突破してくるが裏で何があったかはほぼ語られないので展開の強引さは否定できない。

2人いるにもかかわらず、全体的に初代や金銀のライバルに比べるとどうもキャラが弱い。

ポケモン商法がエグくなった

先品の出来に直接かかわる問題点ではないが映画の前売り券に幻のポケモンをつける、リアルのポケモンセンターで特別なアイテムの配信など地方間格差が大きかくなり、ポケモン商法が悪化。ぶっちゃけアドバンスにはネット通信機能がなかったので現在よりも格差はひどかったように思われる。

たしかに金銀末期に映画が低迷し起死回生の一手としてポケモン商法の強化を行ったのは商業的には正しいのかもしれない。しかし付き合わされるファンにとっては必ずしも幸せとは限らないであろう。

まとめ

本作そのものの出来は良く、グラフィックは革命的な進歩があったと思う。しかしシナリオ重視路線やとくせいの追加、ポケモン商法の強化といったのちの世代に悪影響を及ぼす要素が見られ始めたのもまぎれもない事実である。いい意味でも悪い意味でもポケモンのシリーズの転換点となった作品と言えるだろう。

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