ペーパーマリオオリガミキングは2020年に発売されたペーパーマリオシリーズの最新作。ジャンルがコロコロ変わっているシリーズでだが、今回はアクションアドベンチャーである。
評価点
初心者に配慮されたシステム
本作は戦闘ではパズルで敵を並べ、行動を選択、アクションコマンドを入力するというパズル+ターン制RPG+アクションというシステムが基本になっている(一部の敵はアクションのみで倒す必要もあり)。最初はこの仕様どうなの?と思ったが、やってるうちにパズルをどうするか考えるのが癖になってきていいカンジ。
ジャンルが幅広いためどこか一つ苦手なところがあると躓く可能性があるようなシステムであるがセーブブロックが多かったり、オリビアというナビゲートキャラのヒントであったり救済システムが多い。どこ行ったらいいか分からなくなるということもパズルが難しすぎて進行不能ということもおそらくないだろう。初心者でも安心である。とくに謎解きやパズルはたまーに難しいものが含まれているためこういったヒント機能は詰み防止としてありがたい。
こういった救済システムの多くは任意のものであり、やりごたえを求めるならほぼすべてカットすることもできるためあらゆる層へのアプローチができていると言えるだろう。トロフィーや称号も搭載されており、やりこみだけでなく縛りプレイなども面白いかも。
キャラクターや世界観の重視は健在
ペーパーマリオシリーズというとキャラクターや世界観に力を入れているイメージを持っている方が多いと思うが本作もイメージ通りである。
シナリオそのものは悪いやつが現れたので倒しに行くという『マリオストーリー』と同様で大きな起伏があるわけではないが、その分個別のキャラクターの掘り下げはよくできている。ちょっと抜けたところがあるマリオの相棒ポジションのオリビアなどキャラは魅力的に仕上がっている。とくに2面で仲間になるボムへいは固有名が与えられていないにもかかわらず、プレイすれば必ず印象に残るキャラだ。
世界観も砂漠や雪山といった定番だけでなく、和風なテーマパークのOEDOランドなど同シリーズの他作品ではあまり見られないところも突いてきたところは高評価でBGMも良好である。
かなりブラックなネタを入れてくるのも特徴でパロネタ、下ネタ、モブキャラの死亡など全年齢対象とは思えないようなネタが多い。普通のマリオシリーズとはひと味もふた味も違うといえる。
豊富な収集要素
過去シリーズの多くと同様、エンディング後の裏ボス的なイベントはないが、収集要素は多くやりこみという点では他のゲームに劣らない。
フィギュアなんかはいろいろなところに隠されているし、過去のボスキャラと再戦するモード、パズルの挑戦などがある。とくにボスとの再戦は当時のステータスを再現できるため臨場感ある戦いができるし『マリオストーリー』などでは一回データを消して初めからやり直さなければそもそも戦えなかったのでありがたい。
収集要素が集まる博物館を攻略サイトなしで完璧に仕上げようと思ったらかなり時間がかかると思われる。
問題点
一部ゲームバランスが悪い
初心者向けに配慮されているため詰むことはまずないだろうがゲームバランスの一部には疑問もある。
RPGとしてみるとこのゲーム、なんと経験値という概念がない!マリオを強化するのは基本的にアイテムとコインである。とくにコインは謎解きの難易度を下げる際にも要求される。努力(経験値)よりも資産(アイテム)と金(コイン)が重要というのはなんとも現実的だがゲームとしてみると雑魚戦にあまり意味を見いだせず、引っ掛かる仕様である。
また救済が多いからなのかやたら即死トラップが多い。選択肢を間違え死亡、ミニゲーム失敗で死亡、敵に追いつかれ死亡…。直前でやり直しができる場合が多いが何回も即死させられるとさすがに萎えることも。
挙動がもっさり
戦闘の際のパズルはそこそこ難しいため悩んでいると時間がかかる場合もあり、1戦1戦のテンポがあまりよろしくない。前述のゲームバランスと合わせて雑魚戦忌避につながってしまう。
またマリオの移動が遅いのも気になる点。各ステージへのショートカット土管など従来作品同様の工夫もあるが、フィールドが過去作よりも広くなったことやイベントであちこち動かされることもあって移動速度の遅さがネックになってしまう。個人的に最低でも1.5倍はほしかった。
一部キャラのデザインに難あり
キャラクターはいいんだがデザインが解せないキャラがいる。本作の悪者であるブンボー軍団のボスたちはみな現実の文房具そのまんまで違和感バリバリである。異形の怪物が紙の世界に攻めてきたという雰囲気は出るかもしれないがさすがにそのまんまというのはちょっと手抜き感が否めない。
敵キャラも見た目がペーパーからオリガミに代わっただけであまりバリエーションも多くないのでもう少し質・良で工夫がほしかったかも。
まとめ
RPGとしては経験値システムの欠如など変わった仕様で戸惑うところもあるがやっているとだんだん楽しくなってくるタイプのゲームデザイン。救済システムも多いため普段はあまりコンシューマでゲームをやらないような人にもおすすめできると言える。
評価…B
コメント