(レビュー)ポケットモンスターウルトラサン・ウルトラムーン 感想

ポケットモンスターウルトラサン・ウルトラムーンは2017年に3DSで発売された。サン・ムーンのマイナーチェンジ版(続編?)。

評価B(佳作)

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評価点

新ポケモンの追加

新フォルムの追加は前からあったが新しいポケモンが追加されている。これはマイチェン・続編では史上初の試みである。追加されたのはすべて準伝説クラスのポケモンであり7世代は非常に伝説ポケモンの多い作品になった。

ロトム図鑑の機能追加

存在意義の薄かったロトム図鑑であるがロトポンという便利なアイテムをくれる。捕獲確率が上がったり、賞金が増えたりするので有能になった。ぶっちゃけSMのロトム図鑑は無能だったのでこれはありがたい。

アローラフォトクラブ

ポケモンと一緒に写真を撮ることができる。ポーズを決めてもらったり寝顔をとったり様々なことができる。ネタっぽい写真も多いのでネットで検索してみるのも面白い。写真を撮ってもアイテムなどの得点はないが結構暇つぶしになると思う。

BP稼ぎが楽

マンタインサーフというミニゲームをやればそこそこ効率よくBPを稼ぐことが可能。メガストーンの交換や教え技の利用が気楽にできるようになった。ただマンタインサーフは慣れるまではやや難しいので根気は必要。

バトルツリーのノーマルバトルはレベル・禁止級の制限がないので無双してBPを稼ぐこともできる。効率は良くないが瞬殺できるのでストレス発散にはなるかも。

新イベントの追加・変更

細かいイベントが非常にたくさん追加されている。ささいなものも多いがカヒリのひこうZイベントのようにシュールなものもある。

ぬしポケモンも何か所か変更されているので前作プレイ済みでもそこそこ新鮮味がある。ネット上で言われているSMとほぼ変わらないという表現は少し言い過ぎな表現だと思う。

その他を見てみると(当たり前のことなので評価点に書きたくないが)チャンピオンロードにもトレーナーが出現するようになったこと、クリア後もダブルバトルができるようになったことが改善点。前作はダブルバトルのトレーナーを全員倒すと二度とダブルバトルできなくなるという限りなく不具合に近い仕様があった。ダブルの相手も経験値の多いハピナスが一体混じっており育成への配慮がうかがえるのは良いと思った。

エンディング途中に挟まれる強制戦闘イベントも削除された。倒すと殿堂入りまで復活しないポケモンなので削除は妥当、そもそもイベント自体も長くさっさとセーブして続きをやりたい人も多かったと思う。

登場ポケモンの増加と伝説ポケモンの捕獲

SMよりも登場するポケモンは増加。シリーズおなじみの過去作伝説ポケモンの捕獲もできる。エンディング前から捕獲できるので苦戦するなら先に捕獲するのもありかもしれない。またUBは複数捕獲可能。ただし全国図鑑がないためせっかく捕獲しても過去作のポケモンは図鑑を見ることは不可能。この点は納得いかない点である。

既存キャラの掘り下げ

完全に足手まといだったリーリエもクリア後にトレーナーになるので前作よりはプレイヤーの印象もマシになった。若干空気だったハウも主人公とともに成長しているのがよくわかるようにイベントが追加されている。ポケリゾートのモーンもあるキャラとの家族関係を匂わせるようになり、謎のおっさんという印象は薄らいだ。

ただグラジオやルザミーネのように空気になったり印象が悪くなったりしたキャラもいる。全体的には良くなっているため惜しい。

マツリカの追加イベントはフェアリータイプかつ最後の試練だがドラゴンの試練(簡単)とドラゴンタイプのウルトラネクロズマ戦の後に行われる。くわえてドラゴン使いのリュウキはこれと言ってフォローがない。これらの改変は公式によるドラゴンタイプに対する死亡宣告とフェアリー1強時代の幕開けを暗示な気がするのは私だけだろうか。

問題点

難易度がさらに上昇した

前作も理不尽であったが今作はさらに理不尽である。ぬしポケモンは前作同様開幕ドーピングで仲間を呼んでくるというのは相変わらず。

1番の問題はウルトラネクロズマであろう。仲間は呼ばないが能力値が禁止級トップクラスである上に全能力上昇の状態なので実質的なスペックは全ポケモン最強の状態である。こちらのポケモンはほぼ確実にワンパンされるためロトポンやドーピングアイテムを使うかきずぐすりでPP切れを狙うのが攻略法という有様で理不尽の極みである。7世代は通信交換したポケモンはエンディング前までは最高でもレベル80までしかいうことを聞かせられないので高レベルのポケモンで無双するのは難しい。一応ハメ技で楽に倒す戦法もあるが初見で思いつく人はまずいないような気がする。メインターゲットである小学生には厳しい難易度だと思われる。

RR団編

クリア後にやることが増えたのは高評価だが過去作キャラを登場させたくせに過去作と矛盾する場面が多い。

とくにボスたちが伝説のポケモンを使用する点であろう。伝説ポケモンを悪役扱いすること自体が個人的に好きではないのだが過去作と比べると彼らが使役できる・するのはおかしい。
例を挙げるとギンガ団のアカギはディアルガ・パルキアをボールで捕まえても意味がないと言っており、実際DP主人公にマスターボールを渡す。しかし今作ではアカギがマスターボールで捕まえた伝説ポケモンを繰り出す。プラズマ団のゲーチスも自分ではレシラム・ゼクロムに認められないからNを利用した(そのNもなぜ認められたのかは不明だが…)のになぜかレシラム・ゼクロムを使っている。そもそもレシラムは善人にしか従わないという設定がある。本作をやればわかるがゲーチスを善人とみなすには無理があるため設定がかみ合っていない。マツブサ、アオギリ、フラダリも詳細は省くが同様に原作とは矛盾している。

サカキも原作の段階ではミュウツーとの関係性を示すような描写はなかったような気がするがなぜかミュウツーを使用する。また原作では負けた際のセリフから小物っぽさも感じられたがRR団編ではなぜか悪の組織筆頭の大ボスといったキャラになっておりやや違和感がある。サカキの改変はアニメからの逆輸入なのだろうがポケモンシリーズは各媒体で異なる設定もあるので安易な逆輸入は混乱を招くだけであり、よく考えてほしい。

なおすべてのボスは異世界から来たという設定だがシナリオ上の矛盾を強引に突破するために異世界という設定を持ち出すくらいならシナリオ重視の作品を作るべきではない。ご都合主義要員のアクロマも登場し、やりたい放題で開き直りに近いものを感じる。

ボスが使うポケモンは調整がうまくされていて非常に強いので難易度の上昇という副作用もある。とくにUSのフラダリが厄介。ゼルネアスにジオコントロールを積まれると最悪詰みである。パワフルハーブを持っていないのが唯一の救い。

ウルトラワープライドの仕様

終わっているレベルで操作がしにくい。ゲーム機を傾けなければならないという仕様を考えた人間はクビにするべき。一応スライドパッド操作にできるが作中ではノーヒントである。私も偶然気が付くまで死に物狂いで捜査していた。また目的地に行けるかどうかは運ゲーであり、ねらったポケモンに会いに行くことは不可能という点も理解不能。ORASのように条件満たせば過去作伝説に会いに行けるという仕様でよかったと思う。

まとめ

追加されたイベントも多く評価できる点も確かにあるのだが、味付けが非常に大味であると言わざるを得ない。結構辛辣な評価にも見えるかもしれないがゲームとしては破たんしていない出来でネット上では過小評価されている気もする。

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