(レビュー)ポケットモンスターサン・ムーン感想

ポケットモンスターサン・ムーンは2016年に3DSで発売されたシリーズ7作目。Z技が追加され色々な意味で話題になった作品。

評価…B(佳作)

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評価点

ライドポケモン

文字通りポケモンに乗ることができる。手持ちのポケモンに乗れるわけではないが従来の秘伝技の代わりになっていて秘伝技要因に枠を使わなくてよくなったので自由にパーティーが編成できる。空を飛ぶも結構細かく行き先を指定できるので便利。一つの街に2か所ポイントがあるところもある。

ただし自転車が廃止されたためライドポケモンを使わねばならないがダッシュするにはBボタンを押さねばならず劣化した部分もある。おなじみの道具だったこともあり、シリーズファンにとっては賛否が分かれる可能性もある。

ポケリゾート

ボックスに幽閉され出番がないポケモンでもここで活躍させることができる。宝探ししたり経験値を獲得したり、木の実を育てたりと結構有能な機能である。特に木の実は水やりをしなくてもよくなったので手間が省けている。

強いポケモン意外に価値なしというレート実装以降の考えに待ったをかける機能であり、うまく一石を投じられたのではなかろうか。

ポケリフレ

ポケパルレとは異なりミニゲームが削除されてしまったが戦闘終了後に状態異常を治すことができるようになった。なんでもなおし以外は影が薄かった状態異常回復アイテムがますますいらない子に。

前作同様ポケモンをなでてかわいがることは可能。7世代初登場のポケモンにも当然モーションがある。作りこみは抜群である。

ポケモンの育成

ぎんのおうかん、きんのおうかんというアイテムを使えばポケモンの個体値(マスクデータ、ポケモン個人の才能のようなもの)を最大まで上げることができる。今まではどう頑張っても上げることができなかったので育成環境の進歩である。通信交換で拾ったけど個体値が微妙…といったポケモンでも(レベル100にする)愛があれば強化できる。

また育て屋に預けてもレベルが上がらなくなった。というか、預かり屋に名前が変わった。新しい技を勝手に覚えられると忘れさせるのが面倒なので評価できる。

その他に便利だと思ったのはハートの鱗を買うことができる点。ラブカス狩りをしなくても済むので便利。ラブカスは安心して暮らせるようになっただろう。

便利になったUI

UIはシリーズ中でもかなり快適な部類である。具体的にはバッグのフリースペースが復活。スプレー等何回も使うアイテムを探さなくて済むようになり、ストレス軽減。

意外な部分では、手持ちがいっぱいのときにポケモンを捕まえると手持ちに入れるかどうか選べるようになった。今までなぜか実装されていなかった機能なのでありがたい。

ボックス操作でボックスを整理する項目のみになった。正直に言ってポケモンを預ける、引き出すは死に機能だったのでうれしい変更。

問題点

シナリオがクソ(2年ぶり3度目)

またしても主人公の代わりになるような厄介なキャラを登場させている。
リーリエというキャラなのだがトレーナーではないくせに悪者に狙われているポケモンをかくまっている。当然バトルはできないので戦闘はすべて主人公任せで完全に足手まといである。戦えないならおとなしくしていてほしかった。そのくせ周囲からはやたらとチヤホヤされており、行動をとがめられることはほとんどなく理解に苦しむ。本人から発言があるわけではないが守って当たり前みたいな雰囲気が作中にある。一応味方サイドなので守ること自体は不自然ではないのだが流石に無能な人物の介護ばかりしていては面白みがない。もう少し自分で何とかする術を身に着けてほしいキャラである。こんなキャラなのにちゃっかり伝説のポケモンに認められたりするから世も末であろう。そしていつものようにエンディング後には主人公の前から姿を消す。ただ今回はカント―に行ったと述べられているのでNやヒガナのように行方不明というわけではない。

裏の主人公ポジションという点ではNと同じであるが一応味方サイドであり、主人公たちを罵倒するような発言はない点でNよりはマシである。また、伝説のポケモンは譲ってくれるのでそこは安心である。ただN、ヒガナに続いてまたしても不快なキャラを出してしまっている点はお世辞にも褒められない。2度あることは3度あるというが本当にそうなってしまったのは残念。

なおかわいいからセーフという人がいるが、かわいければシナリオの戦犯行為が許されるわけではないということを改めて述べておく。

ジム戦の廃止

今まで当たり前であったのでなぜ廃止したのかわからない。こういったシリーズの基盤となる要素を改変しようとするならばもっとよく考えてほしいものである。代わりに試練というものが追加されているが個人的にはジム戦の方が好きである。試練がなぜダメかは後述。

難易度が高い

本作では野生ポケモンが仲間を呼ぶことがあるが、呼ばれるとなぜか2対1で戦わなければならない。しかもこの行動はターン消費なしというトンデモ技である。

そしてジムの代わりに実装された試練におけるバトルではヌシポケモンを倒さねばならないがこいつは1ターン目終了時に確定で仲間を呼ぶ。そのためボス戦では2対1という不利な状況で戦わねばならない。またヌシ戦では戦闘開始時にターン消費なしでヌシの能力が上昇するため、こちらはアイテムでドーピングしたり、回復連打になりやすい。

また四天王や一部ボストレーナーの手持ちポケモンは廃人が調整したように育成されている。そのため同じレベルだと伝説ポケモンを使っていても即死させられる場合もあり、かなり苦戦する。

全体的に相手が廃人仕様だったり反則じみた行動をするのが特徴である。特に後者に関してはフェアなバトルではないと思うのでRPGとしての手ごたえよりも理不尽さを感じる。

ただしシリーズとしては難しいだけでクリア自体は普通にできるレベルである。また、マップは相変わらず一本道でダンジョンの仕掛けも難しいものはないのでそういう点では仕掛けが難解な初代・金銀よりも簡単ではある。

チャンピオンロードにトレーナーが出現しないこと、BWのレベル差で経験値が増減するクソ仕様が復活したことは流石にどうかと思うが。

全国図鑑が存在しない

アローラ図鑑に登場しないポケモンは図鑑説明を見ることもモデルを見ることもできない。リストラが危惧されていたRSすら全国図鑑は存在していたので前代未聞である。使いまわしでもよいから続投させてほしかった機能。
そのアローラ図鑑説明もなぜか残忍な表現が入っていたりするため制作者が図鑑をいかに軽んじているかがよくわかる。

露骨すぎる初代贔屓

驚くべきことにリージョンフォームが追加されたのは初代のポケモンだけ。前作もリザードンやミュウツーにメガシンカを2つ与えており、あからさまであったが反省していないようである。前述のアローラ図鑑の残虐表現も初代リスペクトなのだろうがいまさら初代のクセのある表現を真似したところでノスタルジーは一切感じられない。

Z技等ゲームバランス面

Z技は演出が長いうえに2回目以降であっても飛ばせないし、演出が短縮版になることもない。そして威力がかなり高く効果普通以上のz技だとけっこう耐えるのが難しいためシナリオ中では一撃必殺に片足を突っ込んでいる。インフレに拍車をかけているが汎用Zわざはすべてのポケモンが使えるので格差はあまり生んでいないため度のポケモンでも活かせるチャンスはある点は良い。もちろん愛人起用により専用Z技を持つポケモンもいるが。

フェアリータイプの暴走も問題。前作では能力値的に微妙だったため覇権を握るまでには至らなかったが今作ではミミッキュやカプといった強力すぎるフェアリーが追加されいよいよ止められなくなった。ドラゴンタイプより強いタイプに強いポケモンを追加したらどうなるのかわからなかったなら頭が悪いとしか言いようがない。5世代までの人間にドラゴンタイプはゴミと言ったところでいったい誰が信じようか!

まとめ

致命的な欠点はなく、ゲームとしては遊べる出来だがシリーズとしてみるとやや不安な出来である。もう少し丁寧に作られていればなぁと思うことが多い作品である。

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