(レビュー)ポケットモンスターブラック・ホワイト 感想

ポケットモンスターブラック・ホワイトは2010年DSで発売のシリーズ5作目。シナリオ含め新路線が多く非常に賛否が分かれた作品だった。

評価…C(凡作)

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評価点

良質なグラフィック

ポケモンのドットが動く。今までのシリーズは登場時のみのアニメーションだったが本作は常に動いている。動きも自然でカクツキはほとんど感じられない。ドットの出来もよくこれは正直感動した。アニメーションで動かすのは大変だったと思うが素直に感謝したい。そのほかのグラフィックもDS末期に発売されたこともあり、非常に出来がいい。BW2とともにドット時代のポケモンの集大成と言えるだろう。

クリア前に新ポケモンしか出ないこと

今まで見たことないポケモンしか出ないのは非常に新鮮でよい試みだったと思う。ルビサファとは異なり前作と通信可能なので出現しないポケモンも容易に使用できる。ただし一方通行でBWから過去作に戻すのは無理。

個人的に新ポケモンのデザインも結構好き。コピペロスのように問題のあるポケモンもいないわけではないが。個人的には伝説のポケモンのレシラムが一番お気に入り。レシラム可愛いよレシラム。ただ肝心の本編での扱いはというと…。

BGM

ポケモンシリーズでBGMがクソだったことは一度もないがその中でも割と好き。ただし後述の通りこの作品そのものの出来がイマイチなので結果的に印象がよろしくなくなるかも。プラズマ団に勝利した時のBGMが一番お気に入り。そのほかは四天王戦も結構いい。

ただし戦闘中のポケモンがピンチになるとBGMが変わる仕様はイマイチかなと思った。後続のポケモンが無傷でもピンチBGMに代わるのでプレイヤー的にはピンチでない時も多数。

前作から改善され便利になった点

下画面のCギアを操作すればどこにいても通信することができるため便利。もちろんポケモンセンターでも通信可能で古いタイプの人間も安心できる。
またフレンドリィショップがポケモンセンターに統合され移動の手間が省けるようになった。

HPバーの減りが速くなった。戦闘のテンポがよくなっている。前作がいかんせん遅すぎたともいうが。

本作で特筆すべき点としては漢字でプレイすることができるようになった。ひらがなばかりは読みにくいので非常にありがたい。

以上のように改善されている点もかなりあり努力したことは分かる。ただし悪くなっているところもある(後述)ので総合的にみると微妙なところである。

評価できるその他の追加要素

トリプル・ローテーションバトルの追加。ダブルやシングルとはまた違った雰囲気であり、バトルジャンルが一気に2つ増えたことはプラスと言える。

四季の追加。季節ごとに見た目が変わるポケモンがいたり特定の季節でなければ行けなかったりする場所がある。細かいところだがフィールドの表現が豊かになっている。6世代以降は廃止されたので5世代のみの試みである。

わざマシンが無限に使えるようになった。いちいちゲームコーナーで稼いだり買ったりするのはしんどかったのでナイス改変。

問題点

シナリオがクソ

これがまともなら間違いなく名作と呼べる出来だったのだが…。「ポケモンと人間の関係」、「多様な価値観の存在」といったところがテーマになっている(と思われる)がこれらがシリーズの伝統と相性が悪い。

前者については本編やアニメを見ていれば皆がわかることであり、いまさらこれを問うのは興ざめである。やるとしたら最初もしくは最後の作品にすべきだと感じた。しかも満足のいく回答を示していないため拍子抜けする。後者についても無口主人公というシリーズの条件から敵の説得は一切できず、結局バトルで万事解決なのでかみ合っていない。外野があれこれ言っても主人公に発言権がなく盛り上がりに欠ける。というよりもシナリオの結論部分の放棄もしくは作者の自己満キャラ擁護のために持ち出したテーマのようにも感じられる。非情に薄っぺらい。

またマップが一本道であることも加わり作品の自由度が低下している点もマイナス。マップはメインターゲットの小学生に配慮したのだろうが、シナリオのターゲットは中学生や大きなお友達でありチグハグである。

シナリオライターの自己満キャラ

最悪なのはプラズマ団の(表向きの)ボスであるNであろう。ライバル兼ボスは新パターンだが言動が電波かつ矛盾だらけで作者の自己満キャラとしか言いようがない存在になり下がっている。ポケモンをトモダチと呼びその解放を目指しているのだが本人は当たり前のようにボールからポケモンを出す。しかも繰り出すポケモンが最終戦を除き戦闘場所の野生ポケモンとほぼ一緒で毎回変わるためポケモンに対する愛情を感じられない。そもそもバトルが嫌いという設定もあるが死に設定である。ポケモンと話せるという設定もあり、ポケモンはうそをつかないという。おそらくウソッキーを見たことがなかったのだろう。

そもそもプラズマ団自体がポケモンを粗末に扱う下っ端がいる(しかも最初に戦う下っ端が該当)。作品ではNは知らなかったと言われているが表向きとはいえボスが知らないというのは都合がよすぎる。というか主人公が話せればこのことを伝えることもできたはずだが前述のとおり無口主人公なのでこれは不可能。余計にイライラが加速していく点である。

主人公やその仲間を煽る発言もあり、露骨に不快なところもあるが、なぜか作中キャラでこいつを悪く言うキャラはほとんどいない点も理解に苦しむ点である。利用されていたとはいえ世界征服をたくらむ悪の組織のボスが無罪放免で人々の同情を買いまくるというのは明らかに不自然であろう。

シリーズ伝統だったチャンピオンや四天王、伝説のポケモンも本作ではNを引き立てるための道具になり下がっている。矛盾に満ちた悪役キャラであるにもかかわらずご都合主義によって伝説のポケモンに認められ、四天王やチャンピオンに勝ってしまう。お約束のポジションのキャラがシナリオライターの自己満キャラのために使い捨てられるのはいたたまれない。

挙句の果てに主人公に敗北後はプレイヤーそっちのけで伝説のポケモンを持ち逃げしてしまう。これにより5世代では続編においてパッケージポケモンを一作で2匹入手できなくなった。

シナリオ的には主人公よりも主人公しているのだがこんなクソキャラが主役では面白くなるわけもない。OPからEDまでNのフルコースでありクリアするまでは我慢するしかなく、ORASのヒガナと異なり苦痛が長引くのも問題点である。没設定もやたら豊富らしいがそもそも本編に登場する設定すらまともにいかせていないのではどうしようもない。行儀のよい言葉ではないのは分かっているが2次創作でいうメアリー・スーとられても仕方ないレベルのキャラである。

その他のプラズマ団関係

四天王、チャンピオン、伝説のポケモンはNの引き立て役であり扱いが雑。
レシラムとゼクロムはそれぞれ理想、真実を追求する英雄を助けるという設定があるのだがNにそれがあるかは疑問(もっともご都合主義によりいとも簡単に手なずけるのだが)。理想・現実と設定的には水と油のはずだがバッジを持っていれば異なるバージョンの伝説ポケモン(ブラックでゼクロム、ホワイトでレシラム)を使役することが可能なので存在意義の感じられない設定である。いうことを聞かなかったらそれはそれで問題だが。世界を焼き尽くせるという設定もあるが伝説ポケモンの中では比較的弱い。裏ボスゲーチスに瞬殺される程度の実力である。他の伝説ポケモンと比べても強くないので味方にしても天下をとれるとは思えない…。本作以降伝説ポケモンが悪役サイドで登場することが多くなり、その悪しき先例となってしまった。ゼクロムもレシラムもデザインが素晴らしいだけに非常に残念と言わざるを得ない。

プラズマ団の裏ボス、ゲーチスは最後の最後でテンプレじみた黒幕っぷりをさらすがこいつについてもNを悪く言わせないためののスケープゴートにすぎない小物で裏切りもプレイヤーが容易に想像できるので意外性もない。

幹部の七賢人はゲーチス以外戦闘にならず空気。幹部キャラとの戦闘がないだけでなく組織のアジト的ダンジョンもないに等しいのもさみしい。七賢人はエンディング前に逮捕されるが、全員が逃亡する。国際警察ハンサムの無能さが垣間見える瞬間である。一応ゲーチス以外の七賢人は再逮捕されるが。他にもプラズマ団には愛の女神、平和の女神、ダークトリニティというキャラがいるがこいつらも戦闘はなし。存在価値を見いだず、労力の無駄遣いと判断せざるを得ない。

全体的に本シナリオとプラズマ団関連をまとめるとキャラやシナリオの設定だけこっているがまったく活かせていないパターンが多くひたすら自己満キャラを持ちあげるだけである。中学生やクソ2次創作にありがちな問題点をここまで詰め込めるのはある意味すごいことでもある。

その他の問題キャラ

幼馴染キャラが2人いる。前述のNと合わせライバルポジションが3人もおり、いたるところでケンカを売られるのでイライラしてくる。しかも不意打ちであることも多いためなおさらである。

観覧車に乗るイベントでは同性愛者に対し偏見を抱きかねないようなキャラが登場する。このようなキャラを全年齢向けの作品に出すこと自体が問題点で、世界戦略を掲げている割には分別がない。

なお、N含めかっこいいからと本作のキャラクターを擁護する声もあるがそれはシナリオ上の不快さとは無関係である。

その他の問題点

エンカウント率が異常に高い。2,3歩でエンカすることもしばしばである。そしてとくせい「がんじょう」が仕様変更により即死させられなくなったので戦闘テンポが悪くなった。洞窟等で出会うダンゴロ系統に当てはまる。野生戦がとにかく面倒になった。そもそも戦闘面ではレベル差によって経験値が増減する仕様の所為で高レベルのポケモンを育成しにくい。

トリプル・ローテーションバトルが本編内でほとんど使われない。ダークトリニティとバトルする機会があれば彼らの出番的な意味でもプラスになってのだがそれすらない。

操作性にも難点がある。自転車の初速が速いため1つ隣に移動しようとするとすぐに通り過ぎてしまい、地味に難しい。またヒウンシティはじめカメラワークが悪い場所が何か所かある。

通信関連でも問題点はある。まず、きのみの育成がネットにつなげなければできない。本編でできて当たり前のことをわざわざネットでやらせる意味が分からない。加えてブラックシティとホワイトシティの廃墟化。この場所に来ないと少しずつさびれていく仕様だがゲーム開始時点からカウントが始まるためチンタラしているとクリア後すでに廃墟ということもあり得る。

まとめ

シリーズ中で屈指の問題作。ORASやSMでもシナリオが批判されているが個人的にはこっちの方がひどい。ゲームフリークに優秀なシナリオライターがいないのは明らかであり、シナリオ重視路線はやめるべきである。

第5世代はBW2はそこそこ良かったがそれ以外はアニメも含め評判がよろしくない。東日本大震災が起こったのは不運としか言いようがないが映画の分割商法やポケモンリバーストなど常識を疑う企画も多く、第5世代末期に妖怪ウォッチが台頭し第6世代で苦戦を強いられたのは偶然ではないだろう。
ただ評価できる点もあり、ゲームとして最低限遊ぶことはできるのでシリーズの中ではイマイチでもクソゲーとまでは言えないことも事実である。

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