(レビュー)デジモンストーリー サイバースルゥース感想

デジモンストーリー サイバースルゥースは2015年にPSVitaで発売されたゲーム。非情にシナリオが優れている作品だと思いました。

なお本レビューは続編である2017年発売のデジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリーに収録されているバージョンのレビューである。

評価はA(名作)

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評価点

きれいなグラフィック

非常にきれいなグラフィックであり、制作者の苦労をうかがうことができる。デジモンは色違いもいる(グレイモンとグレイモン(青)など)がDQMシリーズに比べれば使いまわしも少ない。攻撃時や被弾時のアニメーションもGOODで3Dのバトルは見ごたえあり。

液晶化状態という状態異常になるとデジモンがドット絵になるというどこか懐かしさを感じさせる演出も。

またマップも現実の場所が用いられていて、渋谷や浅草、秋葉原などの街並みを極力再現したもになっている。特に主人公の拠点となる中野ブロードウェイはかなり力が入っている。関東在住の方はニヤリとできる仕様なんじゃないかと思う。

シナリオ

序盤は探偵の助手をしながら依頼をこなしていくのがメインだが少しずつシナリオの核心部分に迫っていく。特に中盤~終盤はかなり燃える展開で熱中すること間違いなし。シナリオのヤマは何回かあるのであまり中だるみしない点もよい。主人公と関係者の人間ドラマも最後までしっかり書ききられており、エンディングまで行かないと損するゲーム。

シナリオの本筋とは絡まない小ネタも結構センスがある。特にオカルト・ホラー方面のネタが多いが3Dという表現形態も相まって結構怖いものも。

ただ扱うネタがSF、哲学、ネットスラング、アニメなど幅広いうえにシナリオも平易ではないので小中学生がプレイするには少しハードルが高い。

魅力的なキャラクター

キャラクターはかなり印象に残るものばかり。意外なギャップがある神代悠子、厨二病かつオタクだが仲間思い出もある真田アラタ、主人公の上司で超博識な暮海杏子など。全体的に一人のキャラに二つ以上の属性が混ざっているが、それらの要素が薄まることなくうまく調合されているといった印象。メイン級のキャラは見せ場も非常に多く、空気化するキャラもいない点も評価したい。

キャラデザも文句なしの出来であり、女性陣はかわいらしく、男性陣はイケメンが多め。個人的には女主人公と神代悠子が好み。モブキャラも服装や髪色等を変えることで使いまわし感が少しでも薄まるような努力をしている。

また声優陣の熱演もキャラの魅力を引き出すのに一役買っている。メインキャラは伊藤かな恵、潘めぐみ、岸尾だいすけといった人気のある若手~中堅クラスがそろっている。そしてアグモン、ガブモン役はテレビアニメ版と同じく坂本千夏、山口眞弓が担当というアニメ世代への配慮ばっちりの人選である。

問題点

やや面倒なシステム

育成面については、まず才能というパラメーターがあり、これはトレーニングによる強化上限や進化条件に要求される。才能値を上げるため進化と退化を繰り返すのだが地味に面倒。

また友情値も進化条件になっていて戦闘で使えば上がっていくが戦闘では3体しかデジモンを使えない(控えは最大8体で戦闘中の交代も可能)。友情のために薄く、広くデジモンを育てるのは得策ではないので結局、アイテム「デジ肉」で懐柔することになるが時間とお金がかなりかかる。

シナリオ面でも依頼システムは所謂「おつかい」クエストであり、ワンパターンである。もちろん挟まれる小ネタは前述のとおり豊富で飽きないような工夫は見られるがおつかいRPGが嫌いな人にはつらいだろう。

戦闘バランスがイマイチ

戦闘システムも防御力無視の「貫通」の特技をもつデジモンが強く終盤以降はこれがないとまともに戦えない。貫通持ちでないお気に入りデジモンを使うことは若干縛りプレイの領域になるかも。とはいえクリア自体はかろうじてできるレベル。

もう一点、AIが救いようがないほどアホである。おそらく完全ランダムで行動を選んでいると思われ、体力満タンでも回復技を使ったり、あと一発で倒せるという状況でも補助技を使ったりする。敵AIが馬鹿なだけならともかく護衛のNPCのAIもお察しなので挙動に突っ込みたくなるww

一部のキャラクターの扱い

魅力的なキャラが多い反面、一部には賛否が分かれそうな描写もある。

主人公の友人である白峰ノキアは見た目はかわいいがややわがままな面もある。ノキア以外も基本的に未成年のキャラクターは未成年であるがゆえにどこか青臭いところがある。まぁ未成年のキャラが最初から最後まで完ぺきに行動するのは現実味がなく、リアルと言えば聞こえはいいが…。

デジモンの扱いもシナリオ上でかませにされるキャラもいるし、上述のとおり貫通がないと辛いので好きなデジモンが不遇だとやるせなくなってしまう可能性もある。

もちろんすべてのキャラを対等にすることは現実問題厳しく、基本的にはいいキャラクターばかりなのであまり大騒ぎするようなことでもない。

まとめ

魅力的なキャラクターとシナリオが売りの育成RPG。グラフィックも非常によくかなり没入できるゲームである。キャラゲーやシナリオ重視の人にとってはこれ以上ない出来だと思う。

一方で戦闘システムはやや雑でクエストはおつかい感があるため自由度の高いゲームを求める人にはあまり向いていないかも。

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