(レビュー)クラッシュバンディクー5 感想 シリーズ衰退の戦犯

クラッシュバンディクー5はPS2で2004年に発売されたクラッシュバンディクーシリーズの5作目。
個人的に期待していましたが、残念なことにシリーズの終焉を決定づける罪深い作品になってしまった。

評価はE(クソゲー)

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評価点

BGMはよい

これまでの作品とは雰囲気が異なる(なぜかコーラス部分がある等)のでシリーズファンからすると違和感はあるかもしれない。しかしBGM自体の出来は決して悪くない。ワルワルスクールあたりは不気味な曲調で雰囲気がよく出ていて結構好き。

クソゲーのお約束と言ってはいけない。

プレイアブルキャラの増加

クラッシュだけでなく、コルテックスやコルテックスの姪のニーナを使用可能になった。ココは使えなくなったがそれでもひとり分はプラスされている計算である。各キャラクターで使えるステージが決まっているのはもったいないがアクションのバリエーションは増えている。クラッシュシリーズ恒例の死亡パターンも凝っている。
シナリオ面からみても、悪役と協力して別の悪役を倒すというのは王道かもしれないが悪くはない設定である。
またプレイヤーキャラだけでなくボスの数も増加しているし、過去作キャラも多く登場するのはある種のファンサービスと言えるだろう。ボスのHP表記もクラッシュ3に近いものに変更されている。乗り物で倒すボスばっかりだった4と違って普通にアクションで倒すボスも多いのはプラス。

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問題点

ステージ選択制の廃止

自称オープンワールドだが基本的に一本道でステージ選択制よりも百倍悪い。攻略順も完全に固定であり、自由度はかけらもないし(ステージをスキップするバグは存在)、カメラが固定されたり出口がふさがったりするためステージの逆走は過去作以上に困難、というかほぼ不可能で一度先に進んでしまうとそのエリアをクリアするまで出られないことが多い。なぜ自由に選択させてくれないのかまったくもって理解に苦しむ。
おまけにセーブもしにくくなった。ステージ内のセーブ箱以外ではセーブ不可能だがこの箱の配置間隔がやや離れている。ボス戦前にセーブ箱がないことも多く、ボスでゲームオーバーになるとステージの最初からやり直し。地味に長いステージも多いので苦痛。特にラスボス前はかなり長いステージである。もちろんクソ長ロードを挟む不愉快さもある。
強いて擁護するなら近年大量発生しているオープンワールド至上主義者に対する反例になるということしか評価点が見つからない。
正直ステージ選択制ならクソゲーまではいかなかったと思う。この仕様は悔やまれる。

難易度が高く不親切な仕様の数々

1UPが再配置されないため死んで覚えるという戦法を行うとかえって不利になる場合がある。特に乗り物ステージ(特にスノボ)が難しい。ジャンプのタイミングがよくわからず理不尽な落下死を繰り返すためイライラ→ゲームオーバー→イライラのループに陥る。
見張りから隠れて進むステージも隠れたつもりが見つかってミスになったりとここでもイライラが加速する。

そして、なぜか高い所から落ちると死亡することがある。前作までは奈落の底に落ちれば死亡だったが奈落以外なら高所から落ちても無傷であった。今作では奈落でなくてもミスになることがある。ある意味リアルだが、カメラが下にスクロールしないことがありバグくさいのが難点。
無敵も機能していない。無敵なのに防げないトラップが多すぎる。そもそも無敵でなくてもアクアク(ウカウカ)で防げない攻撃が多すぎて彼らの存在意義が薄い。ニトロ箱も防げない無能である。
極めつけは難しいくせにロードが長い。しかもゲームオーバーになるとロード→コンティニューでもう一回ロードとなぜか2回も長いロードをさせられる。おそらく一度もゲームオーバーにならずにクリアできる人間は少ないので誰もが通る道である。ステージごとに長いロードを挟むクラッシュ4よりはましかもしれないが勘弁願いたい仕様である。
頑張ればクリアは可能だが全体的に他シリーズ作品とは異なり、やりごたえよりも理不尽さが前面に出やすい調整で、頑張る気力が失せていく作りになっている。

やりこみ要素の大幅な減少

タイムアタックが削除された。3以降恒例の要素になっていただけに残念。
ダイヤも各ステージに一種類ずつ配置されるという仕様に変更された。箱を壊す楽しみが減少し、ドクロコースやダイヤの足場もリストラされた。ダイヤの取得は面倒な仕掛けをいたり地味な場所に配置されていたりするパターンが多く、クラッシュ4までに比べるとダイヤ獲得の楽しさが半減している。ダイヤを取りに行くと前述のクソオープンワールドの所為でなかなかステージから脱出できないのもマイナス。そもそも今作はクソなので収集する気力もわかない。一応設定資料が解放されるメリットはあるが。
一周クリアすればもうおなかいっぱいなのでゲームとしての寿命が前作までに比べると短くなっている。

シナリオ

飛ばせないムービーが多い。この点は前作までの飛ばせるムービーでシナリオ意味不明という点の反省と言えるかもしれないが2週目でも飛ばせないのはいかがなものか。
ただ肝心なシナリオの出来が悪い、というか不可解な部分がある。特に2面。コルテックスとペンギンのやり取りや突然襲ってくるNトロピーとNブリオのあたりは良くわからん。前者はコルテックスが突然ペンギンを銃で撃ち、後者は宝のありかを言えと言いながら次に「静かに、拷問するしかない」と言うため理解不能である。というかNトロピーとNブリオが同時に出た作品は存在しないためこの二人がなぜ一緒にいたのかすらわからない。
またサブキャラクターは声優が変更されたりキャラの性格が変更されていたりする(特にココ)。
またパワーストーンがなぜかパワークリスタルになっており前作を踏まえてきちんと翻訳作業をしたのか疑問。

まとめ

文句なくクソゲーである。クラッシュシリーズにとどめを刺した戦犯であり、大好きなシリーズであったがゆえにプレイしていて非常に悲しくなった。これ以後PS4のリマスター版までクラッシュシリーズは日本国内でこれといった展開がなかったのでこのゲームの残した爪痕は大きいといえる。クソゲーハンター以外にはお勧めできない作品。

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