(レビュー)モンスターハンターストーリーズ2感想

モンスターハンターストーリーズ2は2021年7月発売。あのモンスターハンターシリーズのモンスター(オトモン)たちを対象にした育成RPGの第二作目である。昨今では珍しくなった?ジャンルなので個人的には超注目作であった。なお評価は8月5日の無料アップデート第2弾までのものである。

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評価点

育成できるモンスターの増加

前作(「ストーリーズ1」)に登場したモンスター(オトモン)は他社コラボのモンスターを除くと無料アップデートを含めてすべて登場予定。追加されたオトモンは主に前作後に発売されたシリーズからが中心であり、イヴェルカーナやネルギガンテなど強力な古龍も仲間にできる。

また、前作では終盤から登場するくせにレア度の低い(≒弱い)オトモンもおり、活躍させることが難しいものもいたが、今作ではおおむねレア度順に登場するためシナリオで使い物にならないというモンスターはまずおらず、新しい場所でより強いオトモンを仲間にしていく楽しみがある。経験値は主人公とのレベル差があると大きなプラス補正がかかるので新しい仲間を前線に投入しやすいのも◎

1部モンスターは相変わらずアップデート待ちであるが前作ではアップデートまで仲間にできなかったクシャルダオラなどもクリア後すぐ仲間にすることもでき、クリア前からクリア後までお気に入りのモンスターで冒険することができる。オトモン可ならね…

武器・NPC追加やモンスターの行動など戦略性とゲームバランス改善

前作で登場していた大剣、片手剣、ハンマー、狩猟笛に加えてガンランスと弓が追加。それぞれの武器にも「斬」「打」「突」の3種に分類され既存の属性(火、氷など)に加えて武器種でもモンスター部位ごとに弱点が設定され、使い分ける必要ができた。戦闘中に武器は3つまで装備できるため持ち替えてうまく戦うため戦略性は向上している。

戦闘は基本的にパワー、スピード、テクニック(3すくみ)から相手に有利なものを選んでいくスタイル。前作はアニメ化もするなど子供向けのゲームとのことだったが、難易度的にはやや難しめだったが、今作では相手の3すくみが固定なので対応しやすく運負け・運勝ちが減少。共闘してくれるNPCも登場し各キャラ個性ある動きをするが、こちらは3すくみの選択がランダムなので相手の全体攻撃を誘発しやすく、クリア後は共闘NPCを使うか使わないかという駆け引きもある。

かといって強いボスは強いため相手の行動をしっかり観察して対策するというモンハン本家や他RPGでも王道と言える楽しみは健在である。

育成が便利に

本作は前作同様通常のレベルアップに加え、オトモンごとに持つ遺伝子を伝承の儀と呼ばれる儀式によって3×3のマスに移動させビンゴを狙っていくことで育成していくのが基本である。前作では別のオトモンに遺伝子を移動させるのに同じマスでしか移動できないという厳しい制約があった。例えば左下のマスにある遺伝子は左下のマスにしか移動できない。そのため目的の遺伝子を特定の場所に持つモンスターを厳選する必要があり、同じオトモンを5匹10匹乱獲は普通であった。今作では遺伝子を任意のマスに移植させることができるようになったため目当ての遺伝子さえ持っていればよく育成の難易度が格段に下がった。

また前述の主人公とのレベル差によりオトモンが得られる経験値が増える仕様に加え、弱い相手には一掃攻撃という即戦闘を勝利で終わらせる機能が付いたため素材集めも平易に。戦闘も最高で3倍速にできるためテンポもいい。

グラフィック

3DSからSwitchに変わったことでグラフィックは向上している。モンスターとともに世界を旅する感覚は明らかに前作より今作の方が上である。キャラデザも子供向けからやや対象年齢が上がっていてこちらの方がこのゲームのプレイ層には受けがよさそうだと思う。

PC版も出ているため物足りなくなる人もいるかもしれないがリアルな怪物よりはデフォルメされたモンスターといったキャラデザの方向性を感じるため落としどころとしてはこのレベルでもOKだろう。

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問題点

前作キャラクター含めたキャラクターに難あり

前作はシナリオも良かったが今作では文句をつけざるを得ない。まず、前作キャラの扱いである。公式サイトでもアユリアなどの再登場がプッシュされており、実際に登場してくれること自体は前作ファンとしては嬉しい。ところが前作キャラの多くが程度の差はあれど先輩キャラとして登場するため主人公への風当たりが強い。特にリリアは仕方がないとはいえ融通の利かない役人キャラにもなっておりヘイトを集めやすく、過去キャラをこうしたキャラとして登場させるのは疑問。かといってシリーズ初プレイ勢には過去作キャラの説明が少ないため分かりにくい。詳しい説明を入れるか、ヘイト要員ばかりにするならそもそも登場キャラを絞る等してもよかったのではないか。

今作からの新キャラも問題が多い。主人公の祖父レドをやたら持ち上げるキャラが多く、主人公が新米ライダーで必ずしも順風満帆にいかないこともあって遠まわしに祖父の七光り扱いされているような気になってしまう。顕著なのはエナでかなりキツく主人公に当たる場面もあるが最後まで旅に同行してくる。こいつのDLCを出すならもっと魅力的なキャラにしてほしかったところだ。相棒のレウスも覚醒イベントまではフィールドライドも使えない。加えて今作は前作に比べ強いオトモンを入手しやすいので場合によってはパーティのお荷物化してしまいかねない。離脱イベントもことあるごとに起こるのでメインテーマである絆を感じにくくもう少し強くするなり見せ場を作るなりしてほしかった。

昨今の「俺TUEEEE」が基本のなろう系がいいとは言わないが、全般的に主人公に厳しすぎるシナリオで主人公とはほぼ対等関係のハンター「カイル」が今作のヒロインではないかと錯覚してしまう。

レアなモンスター&ビンの王冠集めが面倒

古龍、二つ名モンスターなどレア度の高いオトモンは通常のレアな巣では出現しなくなった(アップデートで追加されたモンスターの一部はレア巣で出現)。これにより上位の超レアな巣を探さねばならないがこれが頭がおかしいほど出現しない。私は現在プレイ時間100時間以上だがいまだに1回しか見ていない。出現確率の桁を一つ間違えたとしか思えない。

通信プレイではSRチケットを使えば確定で超レアな巣には入れる(というかこちらが基本であるが)ためレアなモンスターも入手自体はできる。しかしSRチケットを入手するためにはビンの王冠というアイテムを100個集めないといけないため非常に面倒である。また、通信プレイの戦闘は2倍速までで絆技の演出も飛ばせないため通常プレイよりもテンポが悪い。

オトモンの属性に偏りがある

オトモンの総数は増えたが前作同様オトモンの属性に偏りがある。具体的には水、龍属性は暗黒時代のスポーツチームのように層が薄い。特に前者は古龍級は9月のアップデートで登場予定の二つ名タマミツネのみである。公式サイトにも登場していたガノトトスやゲネルセルタスといった水属性のモンスターはよりにもよって敵限定モンスターである。一方で氷属性はクシャルダオラがいるにもかかわらずイヴェルカーナも追加されており明らかにバランスが悪い。というかガノトトスは似たような体系のドスガレオスがオトモンにできることからなぜライドできないのか理解に苦しむ。

第3弾アップデートでは待望の水属性モンスター、天眼タマミツネが追加された。しかし固有スキルに水属性攻撃技がなく、卑俗性、無属性の固有スキルを持っている。水不遇は原作再現とはいえファンの神経を逆なでするような構成にしたのはいかがなものか。

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まとめ

システム面では前作から大幅にパワーアップしているのは間違いない。しかしシナリオ面は前作の方がよかったかなというのが正直な感想である。属性の偏りや敵限定モンスターはこれからのアップデートや続編に期待したい。

とはいえソシャゲの台頭でめっきり少なくなってしまった貴重なモンスター育成ゲームであり、このジャンルが好きな人にはぜひとも手に取ってもらいたい作品である。

評価A

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